第24回日本臨床脳神経外科学会(The 24th Annual Congress of Japan Association of Neurosurgical Clinics)

会長代行挨拶

大会長代行 石内 勝吾 写真
  • 第24回日本臨床脳神経外科学会
  • 大会長代行石内 勝吾
  • (琉球大学大学院医学研究科脳神経外科学講座)

第24回日本臨床脳神経外科学会を2021年11月 11日(木)、12日(金)の両日、沖縄コンベンションセンターにて上田会長の代行として開催させていただくことになりました。上田裕一先生は本年2月13日病のためにご逝去なされました。謹んでここに先生の御冥福をお祈り申し上げます。先生は御生前、周囲へ病と闘っていることは公言しないようにと言われていましたので、親しい先生方にはまさに突然の訃報であったかと思います。最期まで本学会の開催を楽しみにしておられ苦難の歴史を踏み超えて新しい東アジアの時代の幕開けにあたり現状の沖縄を皆さまに見ていただき歴史や文化を知ってほしい、その思いをプログラムに組み込んでほしいと希望されていました。

本学会のプログラムは従いまして先生の発案されたものを骨格としています。沖縄に関する文化講演として沖縄美ら島財団理事長の花城良廣先生は沖縄の植物資源について、琉球料理は琉球料理保存協会理事長の安次富順子先生、沖縄の経済のこれからの30年について沖縄銀行元頭取の安里昌利先生にお願いしました。会長講演は上田先生の同期(ともに昭和41年卒)で無二のご親友でいらっしゃる児玉南海雄福島大学名誉教授から「上田先生の思い出」を50年間の交友を振り返りながらご講演いただきます。上田先生の手術は術前に入念なシミュレーションを繰り返し、厳密な操作を行う達人とお聞きしていましたが、九州大学名誉教授の佐々木冨男先生がその詳細を特別講演でお話しくださいます。天才的人物と後の手術の達人が織りなす交流は興味が尽きません。東京大学脳神経外科教授の齊藤延人先生には上田先生の恩師の佐野圭司先生とのつながりと先生の御専門である手術シミュレーション法の最新の研究について特別講演をお願いしました。上田先生は、源氏物語の研究者でもあります。奥さまの上田英代様には、あまり知られていない紫式部研究者としての上田先生について無理を言ってお話しいただけることになりました。本学会理事長の嘉山孝正先生からは医師の処遇に関する討論をとご助言いただき基調講演をお願いしました。関連して特別企画を立て、もとぶ野毛病院事務長で管理栄養士の藤本孝子様と琉球大学病院で初の女性医師の教授 銘苅桂子先生(産科婦人科学)にご講演をお願いしました。医療法人社団KNI理事長の北原茂実先生には広くアジアまで展開するトータル・ライフ・サポートシステムの理念と哲学について特別講演をお願いいたしました。

大会2日目に沖縄の地域医療と研究を皆さまに紹介する目的で、琉球大学からは腎泌尿器外科齋藤誠一教授に膠芽腫と去勢抵抗性前立腺癌の幹細胞に共通発現するマーカーについて、解剖学の石田肇教授には形態とゲノムから探る縄文および弥生文化の人類学的研究をお話しくださいます。また2017年に世界規模の学長候補者選考にて選出された沖縄科学技術大学院大学学長(OIST)のピーター・グルース先生に世界を駆け回りながら準備されているOISTイノベーション・ハブ構想を含めご講演をお願いしました。ご多忙のため先生のスケジュールの都合から1日目に行います。副大会長の高良英一先生座長による地域医療の中核を担う南部・中部・北部の六病院を紹介いたします。沖縄県の特徴ある地域医療の理解を促進できるものと思います。

以上の特別講演5、基調講演1、特別企画3(10講演)、文化講演1(3講演)はいずれも演者の卓越した知識と経験が織り込まれたすばらしい御講演です。紙面の都合上ご紹介できませんでしたが多くの各分野のエキスパートの先生方にお願いしてシンポジウムを4セッション(16講演)、教育講演8セッション、ランチョンセミナー8セッションを企画いたしました。一般講演には117の公募があり職種間の交流の促進に役立てばと職種を超えた括りにいたしました。

皆さまをお迎えする11月中旬の沖縄は台風の心配のない、紺碧の空、エメラルドグリーンに輝く美ら島(ちゅらしま)です。新型コロナウイルス対策(ワクチン接種2回、うがいと手洗い、マスク着用)を行いながら、皆様と会場でお会いできるのを教室員一同楽しみにしております。