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会長挨拶

大会長

第45回日本生物学的精神医学会年会
大会長 岩田 仲生
藤田医科大学 医学部 精神神経科学 教授

このたび、第45回日本生物学的精神医学会年会を2023年11月6日~7日の2日間、沖縄の万国津梁館において開催させて頂くこととなりました。ここ数年本学会年会は他学会との合同開催が続いていましたが、改めて本学会が単独で存立する意義を再確認することも含めて敢えて単独、しかも日本の最南端の沖縄での開催とさせて頂きました。生物学的精神医学というキーワードで真に活動している方々が集い大いに語り合う、そういう場をアフターコロナ時代の学会として原則現地配信なしで行う計画としています。

本学会のテーマは「分子から量子まで~ゴルディアスの結び目を解き放て」とさせていただきました。“ゴルディアスの結び目”は西欧圏でない我々には少々不案内ではありますが、何百年も解決が求められできなかった難問を思いもよらぬ方法で解き明かす、という喩えとして使わせていただきました。言うまでも無く精神医学が対峙している難問、病態生理から診断、予防から治療、ほぼ全てがゴルディアスの結び目の如く解き明かされてはいません。この難問に真っ向から挑戦し新たな、あるいは今まで思いつかなかった画期的なアプローチで切り開けないかな、という願いが込められています。

生物学的精神医学は 21 世紀に入り大きな進展を遂げています。特にゲノム解析と画像解析がその両輪として様々な知見を生み出してきています。分子から人へ、そのステップを緻密に積み上げていく作業、しかも膨大な多因子の集積でありその複雑性は現状の認識論ではまだ太刀打ちできないのかもしれません。もう一つのテーマの「分子から量子まで」は必ずしも量子精神医学が進展を遂げているという意味ではなく、量子レベルから生物を見る学問がかなり進展しており、改めて精神や人の行動の原理を探るのに何かしらのクロストークを始めては、ということで取り上げさせて頂きました。難問を思いもよらぬアイデアで、つまり量子レベルからみるとあっさり解けてしまうとは考えていませんが、数世紀に亘り精神医学研究者が取り組んできた難題を解決するにはありとあらゆる科学を総動員しなければという思いです。

年会では次世代を担う若手研究者の育成を得に重視しSocietyとして全国の研究者が集い語ることのできる場をつくることを苦心していきます。万国津梁館周辺には素晴らしい海と自然はありますが都会で行われる学会とは違い近隣に飲食店はありません。学会参加者にはできれば前日の夜から現地入り頂きプログラム時間以外の交流も十分行えるよう準備していきます。

是非とも志のある皆様に沖縄の地でお会いできることを心から祈念しております。

第45回日本生物学的精神医学会総会