第72回西日本泌尿器科学会総会(The 72nd Annual Meeting of West Japan Urological Association)

受賞者発表

一般演題学術奨励賞 受賞者

第72回西日本泌尿器科学会総会 一般演題学術奨励賞を受賞された皆様は以下のとおりです。
受賞された皆様、おめでとうございます。

木村 有佑(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 腎泌尿器学分野)

[アンドロロジー・OAB] DP-002

ロボット支援前立腺全摘除術後の勃起障害に対するPDE-5阻害薬による陰茎リハビリテーションの効果と神経温存の与える影響:傾向スコアマッチング解析

この度は学術奨励賞をいただき、感謝申し上げます。今回の学会は新型コロナウイルスのため、WEB開催となり沖縄に行くことができず、大変残念ではありました。WEB開催でもあり、まさか自分がこのような賞を受賞できるとは思ってもいませんでした。ご指導いただきました、武中教授をはじめ、医局員の先生方に心より感謝申し上げます。この度の受賞を励みに、今後も取り組んでまいります。

野村 博之(原三信病院 泌尿器科)

[前立腺肥大症・排尿障害1] DP-118

CVP(接触式レーザー前立腺蒸散術)はBPH手術のgame changerとなりうるか

 このたび、第72回西日本泌尿器科学会総会で「CVP(接触式レーザー前立腺蒸散術)はBPH手術のGAME CHANGER となりうるか」を発表し、「一般演題学術奨励賞」を受賞することができ、大変光栄に思います。ご評価くださいました先生方に心より御礼申し上げます。
 研修医時代、モノポーラ電極を用いたTURPを学びました。ティーチング・スコープから見える術野は真っ赤で、患者が欠伸をし出すと水中毒の前兆と教わり、帰室後はガーゼ牽引による患者の苦痛を取り除くために鎮痛処置を行い、膀胱タンポナーデになると膀胱洗浄のため夜中に呼び出されることもあり、BPH手術は恐ろしいという印象を持ちました。もしも自分が前立腺肥大症にかかり手術をしてもらうとしたら・・・輸血、水中毒、尿失禁、尿道痛は正直勘弁して欲しい。欲を言えば男性機能に影響しない、カテーテル留置期間や入院期間が短い手術だったら理想的だなぁ、と思います。そんな理想的な手術に最も近いとされるのがレーザー蒸散術です。海外においてCVPは抗血栓療法継続例や重症肥大にも有効とされていますが、国内での十分な検証はなされていません。今回、前立腺体積が100mL以上の重症肥大を対象としてCVPの安全性と治療効果について検証してみました。対象となった44例の平均年齢は71.8歳(最高齢86歳)、平均前立腺体積は129.5mL(最大で234mL)でした。術直前の尿閉患者は60%を超え、抗血栓療法10例は全例で休薬することなく全身麻酔でCVPを行いました。国内前向き治験と比較して当院の前立腺体積は治験の2.5倍と大きかったのですが、術後1か月からIPSS、QOL、Qmax、残尿量は劇的に改善し、術後2年を超えても患者の満足度および良好な治療成績は維持できていました。私はCVPプロクターとして全国で指導させていただいていますが、「一期一会」の精神を心がけながら指導を行っています。たった一度の指導でCVPを習得していただけるよう、ムダを省きシンプルさを追求した手技を教えています。核出や切開はさせず、蒸散のみにこだわっています。ファイバーを常に組織に接触させ、素早くファイバーをスイープし、良好な蒸散の指標である大きな気泡を出し続ける。意図しない凝固をさせないよう低出力(150ワット以下)にこだわる。迷ったら左葉よりも右葉、尖部よりも頸部、北半球よりも南半球を優先する。形態評価では尿管口が直視できる高さまで頸部を開大させ、左右線対称、Kissingなく、精丘までバリアフリーな内腔形成を確認して手術終了となります。出血時は圧迫止血で簡単に対応でき、ビギナーでも簡単操作が可能で独力で完遂できるシンプルな手法が「野村メソッド」です。野村メソッドは全症例対応可能であり、100mL以上の重症肥大にも安全で効果的である今回の結果から、野村メソッドの習得を前提とすれば 「CVP は BPH手術の GAME CHANGER となりうる」と考えます。
 今回の受賞を励みとして、今後も前立腺レーザー蒸散術のさらなる手技の簡素化を目指して一層努力して参ります。最後に、レーザー蒸散術を希望して当院に来院された1,800名以上の患者様にこの受賞を捧げます。ありがとうございました。

田岡 利宜也(香川大学 医学部 泌尿器科学)

[尿路上皮癌・手術] DP-123

TURBTにおけるSurgical Checklistの排尿筋採取率向上と再発抑制効果

近年、筋層非浸潤性膀胱癌に対して2nd TURBT、光力学診断、そして膀胱内注入療法など治療モダリティーが増加していますが、その治療戦略の中心はTURBTです。香川大学では、そのTURBTのQualityの向上を目指し、Surgical Checklist、以下SCを運用しています。そのSCは再発・進展のリスク因子の術中評価に加え、術者の排尿筋を含む完全切除意識を高める内容で、本研究はSCを使用することで排尿筋の採取割合が向上し、そして再発割合が減少することを明らかとし、その簡便な使用方法も併せて、今回SC併用TURBTを推奨させて頂きました。

そしてこの度、第72回西日本泌尿器科学会総会の学術奨励賞という名誉ある賞を頂き、大変光栄に存じます。本研究をご指導頂いた杉元幹史教授、ご協力を頂いた医局先生方に深く感謝するとともに、コロナ禍にて前例のない大会運営を頂いた琉球大学腎泌尿器外科学講座の先生方、沖縄コングレ内の方々にも心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

澁谷 忠正(大分大学 医学部 腎泌尿器外科学)

[尿路上皮癌・薬物1] DP-132

Pembrolizumab投与における末梢血好中球/リンパ球比(NLR)の変化と治療効果の検討

この度はこのような光栄な賞をいただき、非常にうれしく思います。
ご指導いただきました三股浩光教授、秦聡孝准教授にはこの場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
これからもこれに満足することなくより一層、精進して参りたいと思います。
誠にありがとうございました。

古林 伸紀(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 泌尿器科)

[尿路上皮癌・薬物2] DP-135

転移性尿路上皮癌に対するペムブロリズマブ後のTC療法の臓器別治療効果

この度は学術奨励賞を頂きありがとうございました。免疫チェックポイント阻害薬が転移性尿路上皮癌でも使用できるようになったものの、期待したほどの治療効果が得られていないのが実状かと思います。今回の発表内容は今後の治療戦略の一助になればと思い検討させて頂きました。誠にありがとうございました。

宮田 康好(長崎大学 医歯薬学総合研究科 泌尿器科)

[尿路上皮癌・基礎・その他] DP-154

歯周病が尿路癌の病理学的特徴や予後に与える影響: 酸化ストレスとの関連

 この度、私の発表した演題に対し栄誉ある学術奨励賞を頂き、大変光栄に思っております。今回の発表は、演題名の通り「歯周病」が尿路癌の病態や予後に与える影響を検討したものです。何故に「歯周病」?と不思議に思われる方もおられると思います。事実、私が患者さんや歯科医師へ「歯周病」に関して問い合せると、皆さん不思議な顔をされていました。一方、その解析結果は、尿路癌の病態には酸化ストレスを含め、様々な全身性の病態が関与する可能性が示唆するものであり、尿路癌の病態を理解することの難しさを実感しました。そして、このような、“一風変わった”研究成果を高く評価して頂き、とても嬉しく思っております。
 本学会の発表者、参加者の多くの方が感じていることだと思いますが、新型コロナウイルスの影響でやむを得ないとはいえ、青い空と澄んだ海の沖縄を感じることができなかったことは残念でなりません。新型コロナウイルス感染が収束した時には、すぐにでも沖縄を訪れ、大好きな「ソーキそば」に「グルクンのから揚げ」、そして、「泡盛」を堪能したいと思います。
 最後に、今回の発表に必要なデータ収集に協力してくれた長崎大学泌尿器科の教室員、そして、長崎大学歯学部の関係者の皆様に感謝申し上げます。

ヤングウロロジストリサーチコンテスト・ベストオーディエンス賞 受賞者

第72回西日本泌尿器科学会総会 ヤングウロロジストリサーチコンテストにおきまして、各賞を受賞された皆様は以下のとおりです。
受賞された皆様、おめでとうございます。

最優秀賞

YU-2 丸山 雄樹(岡山大学 泌尿器科)

The novel in vivo imaging techniques for visualizing neutrophil infiltration following renal ischemia/reperfusion which was reduced by tadalafil.

 この度は、このような身に余る光栄な賞をいただき、大変嬉しく思っております。
これもひとえに、熱心にご指導下さった、那須保友教授、荒木元朗先生、定平卓也先生、川崎医科大学腎臓内科の城所研吾先生、柏原直樹先生をはじめとする、先生方のご尽力のお蔭であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 本研究では、多光子レーザー顕微鏡を用いて生体マウス腎臓内における虚血再灌流後の好中球動態を解析させていただきました。同一マウスを経時的に観察可能であるため、より生体内での“リアル”な動態を捉えることが強みであり、好中球に留まらず様々なターゲットに応用できると考えられます。

 新型コロナウイルスの影響で、沖縄の地を踏むことはできませんでしたが、受賞の知らせを受けた時の心の中は、澄み切った青空と、エメラルドのビーチが確かに広がっていました。
本研究で得られた経験を活かし、今後さらなる精進をしていきたいと思います。このような機会を設けて下さり、誠にありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。

YU-10 広重 佑(久留米大学 医学部 泌尿器)

Three-dimensional ultrastructural analysis of PDGFRα-positive interstitial cells in the mammalian vas deferens by FIB/SEM tomography

 このたびは,ヤングウロロジストリサーチコンテスト最優秀賞という名誉ある賞を頂き、大変うれしく、また光栄に思います。今回の受賞は,日頃から熱心に御指導頂いた久留米大学医学部 泌尿器科学講座 井川 掌教授、解剖学講座 顕微解剖・生態形成部門 中村桂一郎教授、日頃から御指導,御助言頂いたスタッフの先生方や研究にご協力頂いた研究補助員の方々があってのことと、厚く御礼申し上げます。今回、マウス精管のPDGFRα陽性間質細胞について発表致しましたが、今後は同細胞の機能研究やヒト検体での研究も予定しております。今回の受賞を励みに、より一層研究活動に注力したいと考えております。このたびは,誠にありがとうございました。

優秀賞

YU-13 後藤 駿介(九州大学大学院 医学研究院 泌尿器科学分野)

Anti-mesothelin human CAR-T cells producing IL-7 and CCL19 show enhanced anti-tumor efficacy against solid cancer in a PDX mouse model.

この度はヤングウロロジストリサーチコンテスト優秀賞に選出いただき、大変光栄に存じます。私の研究はIL-7/CCL19分泌型ヒトCAR-T細胞がメソセリン発現患者由来腫瘍マウスモデルに対して優れた抗腫瘍効果を示すかどうかを検証したものでしたが、直接的に泌尿器科学の分野に貢献できるかどうかはわからないという部分で不安を覚えながら本コンテストへの演題登録をしたことを覚えています。とは言え実際に英語プレゼンの準備を始める段になるとそうした不安を感じる余裕もなくなり、目の前の英語原稿と悪戦苦闘し、質疑応答に震えながら発表の練習を繰り返しましたが、自分としては悔いのない形で発表でき高い評価をいただけたこともあって良い思い出になりました。

リモートでの学会発表は今年で最後になればいいと思いますが、もし来年も行われるとすれば、通常の学会予行だけでなく研究室の端と端をzoomでつないでon lineでの予行をしたことは、リモート発表独特の虚空に向かってプレゼンするような違和感であったり、思ったより抑揚を強調しないと淡々としたプレゼンの印象になってしまう点などを確認でき大変役に立ったのでオススメしたいです。

最後に、直接ご指導をいただいた山口大学免疫学講座の玉田耕治先生、研究の後押しをしてくださった九州大学泌尿器科の江藤正俊先生に深く感謝いたします。

ベストオーディエンス賞

YU-2 丸山 雄樹(岡山大学 泌尿器科)

The novel in vivo imaging techniques for visualizing neutrophil infiltration following renal ischemia/reperfusion which was reduced by tadalafil.

 この度は、ベストオーディエンス賞という、オンラインならではの素敵な賞をいただき、誠にありがとうございます。Zoomを用いてのプレゼン、さらに慣れない英語による発表ということで、非常に緊張しましたが、その分、選出された喜びはひとしおでございます。

 緊張のため、ゆっくり話そうと思いつつも、つい早口になってしまいましたが、那須保友教授をはじめとし、直前までスライドや原稿、発音を指導して下さった荒木元朗先生、定平卓也先生、様々な先生方のご指導の賜物でございます。

 今回のように、英語のプレゼンをしっかり準備して行うというのは、ほぼ経験のなかった事であり、準備、練習を通じて大変貴重な勉強をさせていただきました。このような場を設けて下さった、琉球大学腎泌尿器外科学講座の先生方、沖縄コングレ内の方々に心より御礼申し上げます。今回の受賞を励みにより一層精進していきたいと思いますので、今後ともご指導・ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

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