ご挨拶
Greetings
この度第28回日本IVF学会学術集会の大会長を仰せつかりました、空の森クリニックの德永義光と申します。今回は新たに日本IVF学会理事長に就任された古井憲司先生のもと新体制で臨む初めての学術集会です。このような記念すべき大会を沖縄で開催できることを大変光栄に存じます。例年日本臨床エンブリオロジスト学会と併催していますが、今年は二日目午後は日本生殖看護学会とも併催することになりました。
沖縄は地理的に台湾や中国そして東南アジアの国々と近く、そのため歴史的にもこれらの国々と深い関係をもってきました。沖縄の民謡に「唐ぬ世から大和ぬ世、大和ぬ世からアメリカ世、みじらさ変わたる比ぬ沖縄」という一節があります。中国への朝貢にて成立した琉球王国、中継貿易で栄えた時代、明治政府による日本国への編入、戦後のアメリカ統治時代、そして日本復帰とめまぐるしく変わる沖縄の様を歌っています。時代の局面で沖縄は生存をかけて選択を行なってきました。大国のパワーバランスの変化に伴い沖縄は新たな大波にさらされ、今重大な選択を迫られつつあります。
生殖医療もこの半世紀の間にめまぐるしく変化してきました。ヒトでのIVFの成功から始まりICSIと男性因子に対する治療の発展、胚凍結融解移植の確立、OHSSの無い安全な治療の確立、そしてついに不妊治療保険診療化が実現しました。しかしながら治療年齢の上昇や卵巣機能低下への対処、婦人科疾患合併患者への治療戦略、がんサバイバーの妊孕性温存と治療の難しさ、そして子供を持たないカップルへの対応など課題は山積みです。また昨今世界の生殖補助医療は莫大な資本によるグローバルグループ化という大波にさらされつつあります。日本も例外ではなく、まさに今重大な選択を迫られていると言えるでしょう。
今学術集会では新しいARTの技術、世界のART・日本のART、1日目後半は日本臨床エンブリオロジスト学会セッション、2日目後半は日本生殖看護学会との合同セッションを予定しております。さらにグラフィックデザイナーの佐藤卓氏と文化人類学者の竹村真一氏を迎え特別対談も予定しております。
多くの方々がここ沖縄に集い、日本の生殖医療の未来について語り合って頂きたいと存じます。皆様のご支援を心からお願い申し上げます。
日本IVF学会 理事長 古井憲司
第28回日本IVF学会学術集会 大会長 德永義光
