ご挨拶
第27回日本臨床モニター学会 会長 垣花 学
この度、第27回日本臨床モニター学会総会の会長を拝命いたしました。非常に光栄に思うと共に、その責任の重大さにプレッシャーを感じております。
医師としての仕事は、病に苦しむ患者さんの問診からはじまり、身体所見ならびに検査所見をとり、それらの情報をこれまでの経験に照らし合わせ、理論的推察により病態あるいは疾病へと導くことであります。さらに、様々な侵襲が罹る周術期や重症患者に対応する救急領域や集中治療領域では、そこで遭遇する全ての生体反応を統合的に考察し、その病態に対する対処や治療を直線的に行うこともわれわれの守備範囲になります。このようにわれわれが遭遇し得る事態では、生体が生み出すその“生体信号”いわゆる生体情報から何らかの答えを導き出さなければなりません。歴史的には、個人の経験と洞察力をもとに“生体信号”を利用していましたが、現在では科学技術の発展とともにこの“生体信号”を電気的信号に変換し客観的指標として提示できる、いわゆる“モニタリング”できるようになりました。
今では、診療所から総合病院まで、かならず何らかの生体情報のためにモニターが稼働しており、医療現場に無くてはならない存在となっています。しかし一方で、生体反応の客観的指標(数値化あるいは画像化)にのみ暴露されてしまい、時にそのピットフォールに陥ってしまうこともあります。
このような現状のなかで本学会総会を開催するにあたり、そのテーマを「モニターの本質を知る」とさせて頂きました。モニターに提示される客観的指標を表示できる原理、その指標の意味するものと可能性のあるピットフォール、指標に基づいた医療行為と予後など、様々な視点から議論できるような総会にしたいと考えております。また、これまで思いつかなかった新たなモニターの形態を模索するということにも視点を置き、イノベーション関連の講演も用意する予定です。
沖縄で最も過ごしやすいといわれている“うりずん”の季節に、学会に参加し、また多くの沖縄の見どころ味どころを楽しんでいただき、参加者の明日からの活力になればと考えております。どうか多くの皆様の参加をお願いしたいと思います。
4月に沖縄でお会いできることを楽しみにしております。