● 学会事務局

琉球大学大学院
医学研究科整形外科学講座

〒903-0215
沖縄県中頭郡西原町字上原207番地
TEL: 098-895-1174
FAX: 098-895-1424

● 運営事務局

株式会社 沖縄コングレ

〒900-0015
沖縄県那覇市久茂地3-1-1
日本生命那覇ビル
TEL: 098-869-4220
FAX: 098-869-4252
E-mail: 30undoki@okicongre.jp

ご挨拶

第30回日本運動器科学会学術集会 会長 金谷文則

第30回日本運動器科学会学術集会 
会長 金谷 文則 
(琉球大学大学院医学研究科 整形外科学講座 教授)

第30回日本運動器科学会の開催にあたって

この度、伝統ある日本運動器科学会の第30回学術集会を琉球大学整形外科で担当させて頂くことになりました。誠に光栄に存じます。

本学会を2018年6月23日沖縄コンベンションセンターで開催させて頂きます。7月に入ると台風のおそれがありますのでもう少し早い時期に開催したいと考えておりましたが、会計年度の面から6月23日の開催になりました。当日は沖縄戦が終結した「慰霊の日」にあたります。正午には沖縄戦の戦没者に対して黙祷を捧げて頂きたいと考えております。

本学会のテーマを「運動器疾患の保存療法:適応と限界」とさせて頂きました。運動器疾患の多くは保存療法で良好な結果が得られ、その手技も進化しています。一方、手術手技や手術器具の進歩により手術療法の成績も向上し、運動器疾患の保存療法の適応も変化しております。現在における最新の適応と限界についての熱い討論を期待しております。

もう一つのテーマとして「日本型整形外科の未来」を考えております。世界の整形外科医数は、アメリカ整形外科学会(AAO)のホームページ (2017)によると中国が最も多く約13万人(Chinese Orthopaedic Associationのメンバーは約3万人)、アメリカの整形外科専門医は25554名(2015)日本の整形外科学会会員は24771名、専門医は18893名(2017)であり日本は世界で3番目に多い整形外科医数を誇っております。2014年のアメリカ整形外科学会(AAOS)ホームページに掲載されている主要国の人口10万あたりの整形外科医数は日本が180ともっとも多く、以下スペイン140、韓国134、アメリカ122、ドイツ108、スイス100、少ない方ではオーストリア62、フランス55でした。それでは日本の整形外科医数は多いのでしょうか?厚生労働省によると平成18年は、全医師の8.2%のみが整形外科医であり、実際には他科の医師に比べても忙しい印象を持っています。私が実際に臨床の現場を見たことがある米、独、スイス、インド、台湾、シンガポールの各国とも整形外科医はSurgeonであり主に手術を行っていました。運動器疾患の初療医は主にGeneral practitioner(いわゆる一般医)であり、手術適応がある患者は整形外科医に紹介されていました。手術適応が正しくない場合でも、紹介医に配慮していわゆるsocial indicationで手術を受けていた症例も見たことがあります。一方、日本では医学部を卒業してから研修を開始し30歳代で専門医を取得して指導医となり、40〜50歳代で病院のスタッフとなるか開業する場合が多い印象を持っております。すなわち、日本では運動器疾患の初療医はベテランの整形外科開業医であり、正確な診断に基づいて手術適応の患者が病院に紹介されています。つまり日本型整形外科では初療からシームレスの運動器疾患診療を受けられることが他国と異なります。日本型整形外科の特徴はレベルの高い保存療法とエビデンスに裏付けされた手術適応です。整形外科の守備範囲は先天異常を含む四肢脊椎の外傷や障害、RAやOAを含む関節疾患そしてロコモティブシンドロームなど運動器全般にわたり、運動器の専門家で無ければ診療は困難と考えております。専門医制度に新しく加わった総合内科が運動器疾患の保存療法を取り込もうとする動きがありますが、運動器疾患の専門家は整形外科であることを強調したいと考えております。

平成28年度の整形外科専門医の合格者は538名でした。一方、「医療類似行為」を行う柔道整復師は養成学校が歯止めなく増設されたことにより、年間約5000人ずつ増加しており今後供給過多が予想されます。運動器疾患の治療に関しては、私たち整形外科医がリーダーシップをとらないと患者のためにならないと自負しています。「我は専(もっぱら)にして一となり、敵は分れて十とならば、我は衆にして敵は寡なり」(孫子)の如く日本整形外科学会および日本運動器科学会を中心に整形外科医が一丸となって取り組む必要があると考えています。

本学会では「運動器疾患の保存療法:適応と限界」、「日本型整形外科の未来」について熱く討論して頂きたいと考えております。沖縄でお待ちしております。