合同開催:第86回日本感染症学会 西日本地方会学術集会/第59回日本感染症学会 中日本地方会学術集会/第64回日本化学療法学会 西日本支部総会

会長挨拶

琉球大学医学部附属病院長 藤田次郎

琉球大学医学部附属病院長
藤田 次郎

 このたび第86回日本感染症学会西日本地方会学術集会の会長を仰せつかった琉球大学医学部附属病院長の藤田次郎です。今回の学会のテーマは、「輪(和)の心で実践する感染症診療」です。

 このテーマの意味は2つあります。1つ目は「輪」です。この輪というのは、チーム医療のことです。感染症診療にあたる際には多くの専門領域の先生方のみならず、コ・メディカルの力の結集が必要です。これまでの日本の感染症診療は、臓器専門の先生方による診療で進んできました。最近では、感染症科も設立されるようになってきましたが、それはまだ大きな流れにはなっておらず、臓器専門医診療の力を結集することの重要性も改めて見直す必要があると考えています。一方、感染制御の分野においては、チーム医療の必要性は言うまでもありません。

 さて2つ目は「和」です。この「和」は日本の医療を指しています。日本のこれまでの感染症診療は世界をリードしてきたと考えます。多くの抗菌薬がわが国で開発され、また医療資源に恵まれたことから、多くの検査試薬、マーカーなどが日常診療で手軽に使用することが可能でした。また日本の医療従事者の能力の高さもこれを支えるものでした。それを明らかにしたのが、2009年〜2010年のインフルエンザA(H1N1)pdm09流行でした。同じウイルスが世界中に拡散したわけですから、その死亡率は、人種差を考慮しても、ほぼその国の医療水準を示すものと考えます。結果的に、わが国の死亡率は世界でも最も低かったことから、図らずも日本のインフルエンザ診療のレベルの高さを世界に示したと考えます。もう1点は感染制御の成功です。このことは診療報酬に反映させ、かつ人材育成を図るという厚生労働省の見事な政策誘導な功を奏したと感じています。結果的に、わが国における耐性菌の頻度は欧米に比してかなり低い現状を維持しています。

 今、求められるのは、感染症領域における新薬の開発です。多くの製薬メーカーが抗菌薬の開発は、他の領域の新薬と比して、コストベネフィットが良くないと判断し、抗菌薬の開発から撤退しつつあります。またジェネリック医薬品への誘導も日本企業の体力を落としています。長年に渡り抗菌薬を開発してきた組織がいったん解体されると、それまでの研究のノウハウを失うことから、新薬開発のための国の支援が求められるところです。

 現在、沖縄県では、西普天間の跡地に国際医療拠点を構築する、という国家プロジェクトが進行しています。この核として国際感染症医療拠点が構想されています。この機会を捉え、沖縄県において、国家プロジェクトとして、感染症関連の薬剤を開発する拠点形成が実現することを願っています。

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【代表事務局】
琉球大学大学院 感染症·呼吸器·消化器内科学(第一内科)
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E-mail:jimukyoku@ryukyu-med1.com
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