年会長挨拶

第37回日本トキシコロジー学会学術年会 年会長挨拶

 第37回の日本トキシコロジー学会学術年会が2010年6月16日〜18日の3日間、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催されます。

 21世紀にはいり、生命科学の発展はめざましく、ニューテクノロジーの開発と相まって生命機構が次々解明されてきております。ヒトゲノム解析、標的蛋白分子の解明が進み、バイオ医薬品の開発、さらに、iPS細胞の樹立により培養された細胞、組織が新しい治療薬(素材)として開発される時代となり、これら新規医薬品・素材の安全性の評価はトキシコロジー分野の重要な課題となってきました。他方、医薬品代謝物の環境への負荷や動物データの人への外挿と毒性発現等多くの課題があり、また、生活習慣病の増加、人々の健康志向により健康食品、機能性食品の消費が増え、これらの安全性の科学的な評価が強く求められるようになり、薬物・食品の安全性の担保を通して人々の健康に貢献するトキシコロジーの役割はますます重要になってきております。
 トキシコロジーを取り巻くこのような状況の中、本学術年会は「トキシコロジー;ヒトの健康と安全への貢献」をテーマに、国内外から著名な研究者をお招きし、特別講演、教育講演を行うと共に、①毒作用発現とその回避、②新しい毒性評価法、③ヒトでの毒性・安全性に関連した多くのシンポジウム、ワークショップ、ランチョンセミナーが開催される予定です。合わせて、一般講演(ポスター、口頭)が行われ、学会の社会貢献の一環として市民公開セミナーも開催されます。また、産業界の皆様から安全性試験に関連する新しい技術、新時代に対応した医薬品評価のあり方などトキシコロジー関連の話題をご紹介いただくための企業展示を予定しております。

 学術年会は、産官学の研究者・トキシコロジストが一堂に会し、研究成果の発表、問題提起、情報収集、相互啓発を図るとともに親交を深める場であります。沖縄には、きれいな海、おいしい泡盛酒、珍しい食べ物があります。皆様が知的交流とともに沖縄を楽しんでいただけましたら幸いです。

会長 安仁屋 洋子
琉球大学医学部保健学科