学会長あいさつ

第27回日本小児救急医学会学術集会
会長 我那覇 仁
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

この度、第27回日本小児救急医学会学術集会を開催する事になり、大変光栄に存じております。学会の会期は、2013年6月14日(金)、15日(土)の両日、会場は那覇市から約30分北上した宜野湾市の西海岸トロピカルビーチに面した沖縄コンベンションセンターです。

沖縄県での開催は、1999年安次嶺馨先生の第13回以来、14年振りで2度目になります。沖縄県は日本の最南端に位置し、範囲は東西1000km、南北400kmの広大な海域に大小49の有人島をもつ琉球諸島から成っています。従来から沖縄県の救急医療は、地理的特徴や戦後の歴史的背景から、医療政策的にも特に重視されて来ました。

今回、テーマを ‘ もう一度基本にもどり、そして未来へ 南の島からのメッセージ ’ と致しました。

私はかねてより、救急医療は医学の原点であると感じています。高度な医療機器に目を取られる今日ですが、新臨床研修制度が始まり8年が経過し、救急医療と総合的視野を持つ臨床医がますます見直されています。今一度基本にもどり、病歴と理学所見を正確に取り、最短で的確な治療を行う事が出来るか要求されます。また救急医療ではworst scenarioを如何に回避するかが大変重要です。救急医療に携わる医師は常にgood generalistという意識を持つ事が大切だと思います。

さて、我が国の小児救急医療を取り巻く課題は多く、内因系、外因系疾患に対し如何に小児科医、小児外科医、救急医が協力し対応して行くかシステムの構築、PALSを中心とした救急医学教育、搬送医療、災害医療、トリアージや院内救急医療チームの確立、PICUとの連携、脳死判定と臓器移植、小児救急医専門制度の検討など多岐にわたります。

今回は特別講演としてSt. Louis Children's HospitalのDavid M. Jaffe先生を招き、米国の小児救急における重要な感染症について話して頂きます。韓国小児救急医学会の会長であるソウル大学のYoung Ho Kwak先生には、韓国の小児救急医療の現状、システム、教育などについて話して頂きます。今後隣国であるアジア地域との交流も大切なテーマではないかと考えます。また沖縄美ら海水族館前館長の内田詮三先生に、日本の誇る水族館がどのように出来たのか、また海洋と人との関わりなど、夢のある講演になると思います。

会員の皆様には是非とも多数の演題を応募頂き、南の島から日本の小児救急医療の未来に向けて、メッセージを発信する事が出来れば幸いです。

学会の合間には、沖縄県を代表する、海、空の豊かな自然、独特の文化・芸能、琉球料理や古都首里などの歴史文化の散策を楽しんで頂きたく、多くの皆様のご参加を心からお待ち申し上げます。

小児救急医療に携わっておられる関係各位のご鞭撻、ご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

pagetop