会長挨拶

第11回日本 Acute Care Surgery 学会学術集会 
会長 本竹 秀光 
(沖縄県立中部病院院長)

会長 本竹 秀光

この度、第11回日本 Acute Care Surgery 学会学術集会を、令和元年10月25日(金)・26日(土)、沖縄科学技術大学院大学(OIST ; Okinawa Institute of Science and Technology)において開催させていただく運びとなりました。10年を一括りと致しますと、新たな10年の始まりにこのような名誉ある学会を主催させていただきますことは誠に光栄で、会員の皆様に心より御礼申し上げます。

さて、米国で新しい外科分野として始まった、acute care surgeryの背景には外傷症例の減少、非外傷救急外科医のなり手の減少からこれらを補完する目的がありました。一方、我が国においても外科医のなり手は少なく、診療科偏在の1分野として社会問題となりつつあります。若手外科医も外傷外科を含めた一般外科よりも専門外科分野を選ぶ傾向にあります。診療の現場に目を向けると、急性期外科は超高齢化社会を迎えつつある我が国において増加、更に複雑化するのは必然と考えます。acute care surgeryは①外傷外科②非外傷救急外科③外科集中治療の三本柱からなっています。この中で内科的疾患を持つ高齢者の救急外科診療において外科集中治療の存在がより重要性を増してきます。これまで日本外傷学会や日本腹部救急外科学会で急性疾患の標準的治療はかなり議論されてきました。この2学会の共通点として即応能力、外科ダイナミズムが挙げられます。外科医の生涯の中で急性期外科を経験することはその後の外科医の能力向上、応用力の醸成には欠かせないと私個人は考えています。また、我が国では医師の働き方が問題となっています。外科医の中でも24時間、365日救急医療提供を求められる我々acute care surgeonの働き方は重要な問題です。都市と地方、大規模病院と小規模病院とでは働き方はことなります。安全な医療を提供するacute care surgeonが健康であってこそ社会的責任が果たせます。今学会では本来の趣旨である外科サイエンスと医師の働き方を考えると言う新たなテーマも含めて議論していただきたいと考えています。

最後に沖縄の青い海・青い空のもと皆様が日頃の診療を忘れ、リラックスできるよう医局員全員で歓迎したいと存じます。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。