講演会

教育研修講演

金谷文則

「整形外科外傷 − 最近の進歩」

平成27年11月22日(日) 16:00~17:00

金谷 文則 先生
琉球大学大学院医学研究科整形外科学講座 教授

※日整会専門医単位取得には、IC会員カードが必要ですのでご持参ください。

整形外科外傷治療の最近の進歩について述べる。

  • 1. 皮膚欠損
    a.浅層欠損:十分な洗浄とデブリドマン後に湿潤療法を行うことにより良好な上皮化が期待できる。
    b.全層欠損:植皮が適応になる。小範囲であれば骨や腱が露出していても、人工真皮移植により良好な母床を作成し、二次的に植皮を行えば整容的にも機能的にも良好な結果が得られる。
  • 2. 開放創に対する処置:骨や腱が露出した開放創に対しては受傷後6〜8時間のGolden period内であれば十分な洗浄とデブリドマン後の皮弁術が原則であり、下腿では有茎皮弁であるVAF (Veno-accompanying Artery Fasciocutaneous) flapなどが有用である。Golden period以降または感染の疑いがある場合は局所陰圧閉鎖(V.A.C.)療法や抗生剤ビーズポーチ療法が適応になる。
  • 3. 腱損傷:手指屈筋腱断裂では6-strand suture により早期運動が可能になり良好な成績が報告されている。手関節部の伸筋腱損傷では減張位早期運動訓練にて良好な成績が得られている。
  • 4. 軟骨損傷:軟骨欠損では培養軟骨移植、モザイク形成術や肋軟骨移植により良好な成績が報告されている。
  • 5. 骨粗鬆症性骨折:ロッキングプレートや人工骨の開発により良好な初期固定が得られるようになった。

文化講演①

豊見山 和行

「琉球国の外交・社会・医療について」

平成27年11月22日(日) 17:00~17:45

豊見山 和行 先生
琉球大学法文学部国際言語文化学科 教授

15世紀初から1879年まで存続した琉球国(琉球王朝)について、その歴史的特徴を当時の国際関係の中の琉球国という視点から概観する。15-16世紀の琉球国は、東アジアから東南アジア諸地域にまたがる広大な交易圏において、活発に中継貿易を展開した。

その後、1609年に薩摩藩島津氏が琉球国へ侵攻した。以後、琉球は島津氏の政治的支配下に置かれる。そのため旧来の歴史研究では、琉球は大国(明清中国と日本国)に挟まれ翻弄されてきたと見る歴史像が主流となった。また、日本と中国に両属した国と琉球は位置づけられている。

しかし、当時の琉球の外交意識(唐・大和の御取り合い)や具体的な外交折衝から「勝てないものの、負けない外交」という視点から、日中両属論の捉え直しを紹介する。さらに、琉球社会を存続させるための施策として琉球王朝が取り組んだ食料問題や飢饉対策(ソテツの大々的な植樹策など)、台風災害への対処策を見てみたい。18-19世紀の琉球では、旱魃や天候不順から飢饉や流行病による死亡者は少なくなかった。日常生活あるいは災害時において、琉球王朝による医療政策のあり方、さらに医者の果たした役割などについても紹介する。

文化講演②

豊見山 和行

「戦後70年。いま日本の主権と安保、地位協定を考える」

平成27年11月22日(日) 17:45~18:30

前泊 博盛 先生
沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科 教授

今年は戦後70年の節目を迎えます。「講和発効で、日本は戦争で失った主権を完全に回復した」として、安倍内閣は2013年4月28日の日に、天皇皇后両陛下を招き、政府主催の「主権回復の日」式典を開催しました。だが、そこには大きな歴史的陥穽がありました。その日は、沖縄、奄美、小笠原諸島にとって「講和と引き換えに米軍統治下に切り離された“屈辱の日”」だったのです。安倍政権は沖縄県民が式典開催に異議を申立て、県民大会を開き、式典開催に抗議する中、式典を強行開催しました。沖縄を施政権の外に「切り捨てた日」をもって、「完全なる主権回復の日」と祝賀式典を開催した直後、中国メディアは「そろそろ琉球の帰属について本格的な論議をする時期が来た」(環球時報など)と、報道合戦を始めました。講和発効は、もう一つ、日米安保条約とセットで調印され、日本国内に今も残る在日米軍基地の存続を保障し、駐留米軍の治外法権や優遇特権を認める行政協定(日米地位協定)を誕生させました。安保、地位協定といえば「沖縄問題」と誤解されがちですが、実は戦後日本の主権を問う重要な試金石となっています。その課題と謎を紐解きます。

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