タイトル画像:大会長挨拶

写真:大会長 近藤 毅

第35回日本自殺予防学会総会の開催にあたって

 平成23年12月15日から17日までの期間、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターにおいて、第35回日本自殺予防学会総会を開催させていただくこととなりました。会場は宜野湾トロピカルビーチに面しており、学会の休憩時間には沖縄らしい海の見える風景もお楽しみいただければと思います。

 当初は自殺予防月間に合わせた9月中の開催を計画しておりましたが、平成23年9月13-17日開催の国際自殺予防学会(北京)との日程の重なりを避けるため、3ヶ月ほどの間隔を置かせていただき、12月開催の運びとなりました。国際学会へもご参加される先生方も多いかと存じますが、ぜひ自殺予防に向けた最近の世界情勢を持ち帰っていただき、本学会へも多数のご演題をお寄せ下されば幸いに存じます。

 本学会の大会テーマは「メディカルモデルの効用と今後の展望」とさせていただきました。自殺予防対策がけっしてメディカルモデルのみで解決できるものではないことは十分承知しておりますが、わが国の現時点におけるメディカルモデルの自殺予防対策の効用と限界をここで一度総括して、有効活用しうるアプローチや今後の方向性を皆様と再確認していく作業はきっと意義深いものとなると考えております。

 平成22年度、沖縄県はこれまでで最も多くの自殺者を出してしまいました。戦渦の辛苦や戦後の混乱に最も翻弄され続けながら長年に渡り長寿の島とうたわれてきた沖縄、「なんくるないさー(なんとかなるさ)」「ゆいまーる(助け合い)」「ぬちどぅたから(命が最も尊い)」など、自殺予防のキーワードともいうべき言葉が人々の間で当たり前のように共有されていた沖縄も、いまや全国的な自殺者数増加の流れには抗し切れず、むしろ、深刻な経済状況、雇用の厳しさ、生活苦と債務、増加する離婚やアルコール問題等の多様な危険因子の連鎖に曝されている状況にあります。

 手応えのはっきりしないまま、手探りで自殺予防に向けた活動を実践する日々にありますが、沖縄での本学会開催を起爆剤として、本県における自殺予防への取り組みが一層本格化されることを期待したいと思います。また、学会員相互の情報交換のみならず皆様方の英知が集結されることにより、自殺大国ニッポンへの実践的な処方箋に向けた手掛かりが得られる場となりますよう、本年度総会の運営に向けて鋭意努力する所存でございます。

多くの皆様方のご参加と活発なご討論をよろしくお願い申し上げます。
第35回日本自殺予防学会総会
大会長 近藤 毅
琉球大学大学院医学研究科精神病態医学講座 教授

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