日本看護学教育学会 第27回学術集会

会長挨拶

日本看護学教育学会 第27回学術集会 会長
沖縄県立看護大学 嘉手苅英子

日本看護学教育学会第27回学術集会の開催に当たりご挨拶を申し上げます。

今回の学術集会のメインテーマは、「温故知新が照らす看護学教育」です。社会のさまざまな変化に対応して、看護系大学の継続的増加、看護学教育内容や方法の変化、看護職の卒後教育の整備等、看護学教育も目まぐるしく変化しています。看護学教育の長い歩みの中で、どのように現在に至ったのかを考えることは、現在を理解し未来を構想する上で重要ではないかと考えました。「温故知新」のキーワードはそこから発想したものです

学術集会長講演のテーマは、「沖縄県の看護学教育の変遷から見えてくるもの」としました。他県とは異なる歩みをしてきた沖縄県の看護学教育を概観する中で気づいたことを、ご紹介させていただきたいと思っています。

教育講演Iは、斉藤しのぶ氏に「看護系大学草創期の設立の理念から看護学教育を再考する」というテーマでご講演いただきます。我が国において大学で看護学教育が開始されて65年が経過し、看護系大学の数が255校となっている現在、大学で看護基礎教育を始めた頃の理念に立ち戻り、改めて看護学教育について考えたいと思っています。教育講演IIは、昨今社会の関心が高まってきている、通常の状況では学習等が困難な学生への対応について、「特別な配慮を必要とする学生への合理的配慮」というテーマで、西村優紀美氏にご講演いただきます。シンポジウムI「看護技術教育の変化と本質」は、教育方法の開発が進んできている看護技術教育の変化と、変わらない本質について考えていきます。シンポジウムII「社会人経験を有する看護学生の特性を活かした教育」では、社会人経験のある学生が増えてきている現状に注目し、その特徴を活かした教育について考えたいと思っています。

交流セッション33題の他、指定交流セッションとして「沖縄県における准看護師制度の適用と停止」を企画しました。沖縄県の准看護師制度が本土復帰に伴ってどのように導入され、看護職者の養成に貢献し、発展的停止に至ったのかを報告し、准看護師制度について意見交換をしていきます。一般演題は口演と示説を合わせて約260題の発表を予定しています。プログラム全体を通して、活発な学術交流ができることを願っています。

最後に、市民公開講座として「子供の睡眠教育」をテーマに、睡眠の治療や研究、教育に取り組んでおられる名嘉村博氏にご講演いただきます。沖縄では夜型社会が子どもの睡眠に及ぼす影響が懸念されているところですが、子どもの健やかな成長を促すために、睡眠の大切さについて広く市民の皆さまと共に考えたいと思い企画しました。

学術集会が開催されます8月中旬は、沖縄らしい季節のただ中になります。学術集会と共に、沖縄の自然や文化・歴史に触れていただければ幸いです。