シンポジウム1

炎症性腸疾患の発癌および癌合併症例の検討

炎症性腸疾患(IBD)の長期経過例や高齢者症例の増加などにより、腸管炎症を背景としたいわゆるIBD関連腫瘍だけでなく、通常の大腸癌や他臓器癌合併例の取扱いが問題となってきている。しかし、IBD関連腫瘍の早期発見のためのサーベイランス法、病期・病態に応じた治療法、あるいはその他の癌合併IBD症例の治療後フォローのあり方などは未だ確立されていないのが現状である。潰瘍性大腸炎においては本邦の質の高い内視鏡観察でも早期がんを発見することは容易ではなく、各施設で画像強調や色素内視鏡、拡大観察を駆使してサーベイランスを行っていると思われる。時に狭窄のため内視鏡によるサーベイランスができない症例はどう対処しているであろうか。また、発見された病変に応じて内視鏡治療、局所切除、大腸全摘といった適切な治療方針を明確にすることも今後の課題であろう。一方、クローン病においては本邦に多い直腸肛門部癌のサーベイランスや治療については多く議論されているが、腸管狭窄部のサーベイランス法については検討課題のひとつである。IBD関連腫瘍やその他の癌合併IBD症例の外科的治療後のフォローの方法や寛解維持の治療法についても議論が必要と思われる。本シンポジウムでは各施設におけるサーベイランスの現状や工夫、病期に応じた治療法、フォロー、寛解維持治療について幅広く募集し、今後のIBDの診療に役立つエッセンスを導きだしたい。